【バレリー、ジンジャー/グリーク・シアターにて】
ドナがレイを連れて、グリーク・シアターへやって来た。スティーブが「貴重品を仕舞え、コソ泥さんだぜ!」と言うと、みんなはレイの方へ目を向けた。レイは「自分が来たのは間違いだった・・・帰る!」と、ドナに言うが、ドナは「誰が何と言おうと、わたしと一緒にいて」と言い、みんなのいるテーブルへ向った。ケリーは「レイも大歓迎よ」と迎え入れたが、スティーブは「レイに盗み癖があるとわかってから、家から様々な物がなくなっているっ」と、レイに対する不安をブチまけた。レイは盗ってないと反論し、ケリーにお祝いの言葉を言うと、その場を去ってしまった。ドナは、ケリーに「放っておいたら?逃げる度に追うことはない」と言われ、その代わりに、バレリーがレイの後を追いかけた。
- バル:
- 待って!レイ。あたなの気持ちはわかるわ。私も爪弾きにされてるから。だけど、戻らなきゃだよ。
- レイ:
- なぜだ、泥棒呼ばわりされても戻れと言うのか?まっぴらだ。
- バル:
- 私を信じて、ちゃんと解決してあげるから!
- レイ:
- 交換条件は何だ?
- バル:
- 何も。
- レイ:
- どうして味方をする?
- バル:
- 私なりの理由があるからよ。さぁ、お楽しみはこれから!
その頃、ケリーはみんなからのプレゼントを開封していた。クレアからは写真立てが送られ、次に、ジンジャーが自分のプレゼントを空けるよう声をかけた。中身は、花の形をあしらったサファイヤのピアスだった。ケリーが「素敵だけど、悪いわ。こんな高いもの」と言ってるところへ、レイを連れたバレリーが戻ってきた。
- バル:
- いいのよ、人の金だもの
- ジン:
- 何言ってるのよ?
- バル:
- とぼけないで!キッチンの容器に入ってたお金を盗ったの、あんたでしょう?
- ジン:
- 私じゃないわよ。
- バル:
- もっと悪いのは、レイに罪を擦りつけた事よ。
- ステ:
- 俺の時計を盗ったのもっ!
- バル:
- えぇ、どの盗みも彼女の仕業だわ
- ジン:
- どんな証拠があんのさ
- ジンジャーのバッグを手にしたバレリーは、スプレー缶の中から、時計をダイヤの指輪を取りだした。時計はスティーブのもので、指輪はブランドンのものだった。ブランドンは、無くなっていた事すら気付いていなかった。
- ジン:
- なんでこんな真似するのよ。私はここにいる誰よりも、あんたとは親しいのよ。その親友に、よくもそんな真似が出来るわねっ。
- バル:
- 親友だからって、見て見ぬ振りはできないわ
- ジン:
- こんな奴等、どうだっていいじゃない。あんたも最低っ
- ジンジャーはその場から逃げ去った。
- バル:
- 迷惑をかけてゴメン。今日の午後に気付いたが、どうしていいかわからなかった・・・その時に言うべきだった。
- ブラ:
- 君は悪くない。
- バル:
- なんと謝ったら・・・
- ディ:
- 何も言わなくていいさ、これでみんな助かった。
- バル:
- 私に感謝なんかしないで。わたしはきっと、みんなが思うように嫌な女なのかも。でも、みんなの事が大好きなことは分かって欲しい。だから、たとえ親友でも、ジンジャーを許すわけには行かなかった。
バレリーはそう言って、ジンジャーを空港まで送るために、ブランドンの車を借りて行った。
スティーブはレイの仕業でないことを知り、「ごめんちゃい」と謝った。レイも自分の容疑が晴れて、お互いに忘れようと返事した。
ケリーは、ブランドンがまだ自分への婚約指輪を持っていたことについて訊ね、ブランドンは「いつか、また渡せたらと思って・・・」と白状した。それを聞いていたディランは、「じゃぁ俺によこせよ、返品してやる」と間に入り、ケリーは二人のやり取りを笑いながら聞いていた。
空港へやって来たジンジャーは、笑いながらバレリーに報酬を求めた。グリーク・シアターでのことは、バレリーの信用回復のために仕組まれた芝居だったのだ。全員まんまと騙されたことに対して、バレリーは「人を疑うより信じたいのよ、けなげじゃん」と答えた。ジンジャーは、バレリーまでもがオメデタイ人間にならないよう忠告し、さらに、なぜワザワザこんなことをしたのか訊ねた。バレリーは「オメデタイ連中が好きだからよ」と真顔で答え、マウイ島へ行くというジンジャーを見送った。
戻ったバレリーを迎えたのは、ブランドンとディランだった。「大丈夫か?」の問いに、バレリーは「見送るのが辛かった・・・イザという時に頼りになるのは、ジンジャーだけだったから」と呟いた。ブランドンは「いまじゃ大勢の仲間がついてるじゃないか」と励まし、バレリーは「ジンジャーを飛行機に乗せた時、ジンジャーとも、これまでの生き方ともByeしたの」と言って微笑んだ。
【ケリー/21歳の誕生日】
ケリー21歳の朝。ブランドンは真っ先に「オメデトウ」を言うためにビーチアパートへやって来たが、クレアが止めるのも虚しく、ケリーの部屋から出てきたコリンとはバッタリ会ってしまった。そこにケリーも加わって、ぎくしゃくした空気が流れた。
ブランドンは、その事をディランにも話し、2人共ケリーの誕生日パーティには行くと言い合った。
ケリーの誕生日パーティは、グリーク・シアターで行われることになっていた。母ジャッキーは、パーティでのケリーを撮影してもらい、それをファッション雑誌に掲載したいと思っていたが、ケリーは内輪だけの楽しいパーティを希望していた。
ケリ−は会場の準備を進めるデビッドに電話をして、バレリーとジンジャーの席を追加して欲しいと頼んだ。ブランドンが、「同じ家に住んでいながら自分だけ参加するのは忍びないので、二人も招待してやって欲しい」とクレアとドナに頼み、それを聞いたドナが、仕方なくケリーに頼んでくれることになり、頼まれたケリーも断ることが出来なかった。
電話を切ったケリーに、コリンが「ロビンス家の名物料理"バースデイ・パンケーキ"」を運んできた。誕生日の朝は、好きなものを食べるのが、コリン風とのこと。
夕方。ケリーは一緒にパーティへ行こうと、コリンのアトリエ兼アパートD号室へやって来た。
- ケリ:
- 早く支度をして
- コリ:この絵は失敗作だっ!パーティへ行かない
- ケリ:
- この私の誕生日なのよ!
- コリ:僕にも都合がある、それくらい分かるだろう!!!
- ケリ:
- えぇわかるわ。作品の出来を口実に、わがままを押し通すっ人だって事がねっ
そう言って、ケリーはコリンのアパートを飛び出した。出ていったケリーは、コリンはほほ笑みながら見ていた。
その頃、グリーク・シアターに設けられたスペシャル・シートには、持ち込まれた料理が並べられていた。最高級のオリーブ・オイルをふんだんに使用したソースがご自慢の<ナットさんお手製・フィットチーネ(平打ちパスタ)>、カノーリ(デザート)、そしてバースデイ・ケーキなどなど・・・ナットさんが、親友ケリーのために腕を奮った料理が沢山!
主役ケリーに続いて、ディラン、「ハッピー・ファミリー」のブランドン、バレリー、スティーブ、ジンジャーがやって来た。ブランドンとディランは、ジャッキーから「来られなくなったコリンの代わりに、ケリーの側に居てやって」と言われた。お互いにその役目を譲り合うが、その光景を見たジャッキーから「二人で!!!」と言われ、ブランドンとディランはケリーを挿んで席についた。
スティーブによってシャンパンの栓が抜かれると、ケリーは「二人がいてくれるだけで幸せよ」とブランドンとディランに告げた。
盗難騒動もおさまり、グリーク・シアターでのコンサートが始まった。今日のゲスト「デーブ・コズ」は、今日21歳のバースデイを迎えたケリーに、「ユー・メイク・ミー・スマイル」という曲を送った。
その夜、コリンがビーチ・アパートへやって来た。ケリーは「どんな用か知らないが興味ない」と答えるが、ケリーが家から出てくるまで帰らないというコリンの言葉に、仕方なく姿を現した。コリンはケリーの手を引いて、アパートのそばの駐車場へ連れてきた。目を閉じるよう言われたケリーがコリンの合図で目を開けると、巨大バースデイ・ケーキの絵が、沢山の車のヘッドライドの中に浮かび上がっていた。BGMにはトランペットの「バースデイ・ソング」。昼間コリンが書いていた絵は、プレゼントの絵を仕上げるためのダミーだった。そのことを知ったケリーは、「気に入ったわ、愛している」と言って、コリンとキスをした。
【ドナ】
パーティでシャンペンを飲みすぎたドナは、すっかり酔っ払ってしまい、その勢いから、レイの目の前でブラ姿になってしまった(VIcrotia's Secret/Classic full coverage bra/White)。
- レイ:
- いい加減にしないと帰るぞ
- ドナ:
- 今夜、私を抱いて。今夜ならいいわ。
- レイ:
- 何を言ってるのか分かっているのか?君は理性を失っている
- ドナ:
- いいえ、あなたが欲しいの。
- レイ:
- いや、今夜は駄目だ!
- ドナ:
- わかった・・・代わりに強く抱きしめて。
- レイ:
- それならOKさ!
レイはドナを抱きしめた。
ドナを寝かしつけたレイは、バルコニーのケリーに声をかけた。ドナの酒癖に驚いた話しをしたレイは、「自分は聖人君主ではないが、泥棒でもない」と告げ、ケリーも分かっていると答えた。
【ディラン】
部屋の模様替えを終えたところに、ディランが訊ねてきた。ブランドンに話しがあると言って、二人は2階へ上がっていくが、バレリーは二人が何の話しをしているが気になった。
ディランは、父ジャック・マッケイを殺した男「アンソニー・マルシェット」の事をブランドンに調べてもらっていた。その結果・・・顔写真付きの年次報告、インターネットから入手した運転免許証の写しナドナド。情報の自由と言ってもそれは原則であって、多くは秘密扱いになっているというブランドン。書類の数ヶ所は黒く塗りつぶされており、ディランは「殺人犯の人権を守るのか」と呟いた。
ブランドンは、ディランと二人で何を話していたのかとバレリーに聞かれ、内緒にするが見破られてしまった。そして、「いくら悩んだところで、ディランの父親は戻らない。ブランドンがディランに協力するのは、間違ってないか?」と指摘された。
その頃、ディランはブランドンから入手した情報をもとに、とある地下駐車場へやって来た。そこはマルシェット氏のオフィスがあるビルで、ダッシュボードから拳銃を取り出したディランは、マルシェット氏が姿を現すのを待っていた。黒い車からボディ・ガード付きで降りてきた男がマルシェット氏だと確認したディランは、背中に拳銃を忍ばせて後を追った。閉まりかけたエレベーターに飛び乗り、彼らと同じ20階で降りた。ディランはそのまま3人のに着いて行ったが、「マルシェット・フィナンシャル・オフィス」の入口で止められた。すかさず「キンケイ堂出版(キンケイ・パブリッシングと言ってるが、日本にある「金鶏社」のこと?)・・・21階では?」と切り返し、その場を去ろうとした瞬間・・・そのボディ・ガードに引き止められた。緊張のディランが振り向くと、ボディ・ガードに「何を落としたゾ」と言われて紙切れを手渡された。それは、運良く裏側を見せて落ちた、二つ折りになったマルシェット氏の写真だった。
ケリーのパーティでブランドンと会ったディランは、マルシェット氏を一発で仕留められそうな距離まで近づいたと話した。ブランドンは、ディランは時間を持て余しているだけ・・・大学へ戻るようアドバイスをするが、ディランにその気はなかった。