【スティーブ、ディック/最期の言葉】
スリーオンスリーの試合に出ることになったブランドン、スティーブ、ディック。練習後、2人がマリファナを吸ってハイになっていることに気付いたブランドンは、一人の時なら構わないが、自分とチームを組むなら吸わないでくれとディックに忠告した。ディックは一番大事なのは3人で助け合った勝つことだから...と、その忠告に従うと返事した。
試合当日、トレイシーとディックのG.F.エレンも応援に来ていた。第1回戦=ブランドン達の「MARAUDERS」チームは、「SMOOTH MOVES」チームと対戦することになり、最初に7ポイント先取した方が勝ちとなる。試合は「MARAUDERS」の先行で始まり、どんどん点数を入れていって勝った。
ブランドン達はトレイシーの作った料理を食べながら、明日はもっとハードな試合になるだろうと話していた。ディックは「おいしかったよ、トレイシー」と言って、みんなの皿を片付け出した。トレイシーはニュースを見るためリビングに移動し、スティーブはコーヒーを入れてやろうと席を立った。
ディックはブランドンと食器の片付けをしながら、マリファナの件は悪かった...怒らせる気はなかったと謝った。ブランドンは怒っているわけではなく、ただナーバスになっていただけだと返事をした。ディックは大学院進学を棒にふるような真似はしないし、吸っているのは週末だけだし、葉っぱ(マリファナ)だけだと話した。
深夜クラブの新しいD.J.Nigthにやってきたディックは、マリファナを吸ってハイになっていた。スティーブは自分が責任をもって送るから大丈夫だとブランドンに言い、ブランドンは「スティーブが道連れになっていないのが救いだ」とトレイシーに呟いた。そして「自分(ブランドン)は麻薬捜査官ではないから!」と、ディックを注意しなかった。
ディックに呼び出されたスティーブは、ある男からチャイナ・ホワイト(ヘロイン)を分けてもらったと聞かされた。葉っぱしか経験のないディックだが、「何事も経験だ!」と、トイレでそれを試すと言い出した。スティーブはディックを止めようとしたが、エレンに送ってもらうから大丈夫&スティーブの分も取っておくので安心するように言った。「注射のような恐ろしいことは出来ない」と、申し出を断わるスティーブだが、コカインのように鼻から吸引すると教えられると、「自分の分もとっておいてくれ」と言って別れた。
「吸い続けるなら自分は(ディックと)別れる」と、エレンに呼び止められたスティーブはトイレへ。ところが、個室のドア下に倒れている人を見つけ、それがディックだと分かると慌てて名前を叫びながらドアを開けた。ディックは半白目状態をで鼻血を出したまま意識を失っていた。ピーチピットに居合わせたクリフが駆け付けたが、ディックは最後のひと言を残して反応しなくなった。
救急車が来るまでの間、クリフは懸命に心臓マッサージを行ったが、甲斐なく脈は止ってしまった。スティーブは「息をしろ」と声をかけながら、そばにいたブランドンの顔を見つめるが、ブランドンも厳しい表情で事を見つめ、トレイシーやドナ、バレリーも心配そうに見つめていた。トイレの入り口は心配して駆け付けた人々でごった返し、啜り泣く声が響いいてていた。
救急車が到着し、呼吸器を付けられたディックが運び出された。ブランドンは、マリファナだけだと思っていたのに...と呟き、そう思わせておいて他にもやっていたのよ...とトレイシーが返事をした。そして、ブランドンは「なんて事だ...なんて事だ...」と繰り返した。
翌日、電話が鳴っても出ようとしないスティーブに、ブランドンはドアの外から声をかけたが、スティーブは「クレアからの電話だろう...出たくないんだ。一人にしておいてくれ」と返事をした。心配になったブランドンがバスルームからスティーブの部屋へ回ると、スティーブは部屋の隅でうずくまりながら、マリファナを吸おうとしていた。「ディックは死んだ...吸わないと苦しくてどうしようもないんだ。事態を返るチャンスはいくらでもあったのに」と泣きながら言うスティーブ。ブランドンは「マリファナを吸っても事態は変わらない。乗り越えるんだ、スティーブ。君ならきっとできる」と声をかけ、スティーブをスリーオンスリーの試合会場へ連れだした。
メンバーが足りず失格となり、相手チームはは不戦勝で次の試合へ進むことになった。「MARAUDERS」は強豪と聞いていた相手チームも、試合が出来なくて残念だが、いつかプレイしたいと言って握手を交わした。
深夜クラブの入口では、ディックを忍ぶ集会が行われていた。そこへやって来たスティーブは、ロウソクと一緒に置かれていたマリファナのパイプを見て怒りだした。
「誰だ、マリファナのパイプを置いた奴は!返事はナシか...こうしてやる(パイプを壁に投げつけた)。よく聞け!ここにこういうものは一切置くな。こんなのちっとも格好よくねぇ、馬鹿げているだけだ。そうだろう?俺は今生きているけど、それはディックが先に死んだからに過ぎないんだぞ。もう少しで俺だって同じ目に遭うとこだったさ。あのとき分けてもらったんだ。あいつはトイレで倒れた。最期に何て言ったと思う? "俺 死にたくない" そう言ったんだ。分かってたんだよ、死ぬって。ここへ来るたびにしっかりと思い出して欲しい。ディック・ハリソンという学生は、スポーツ万能で、みんなを引っ張っていく力があったけど、ドラッグに溺れたためにその将来を棒に振り、22歳の若さであっけなくいっちまったことをな。それから、あいつの最期の言葉も忘れるな。"俺 死にたくない"」
みんな黙ってスティーブの叫びを聞いていた。クレアは「何も言わなくていいよ」と抱いてキスをした。ブランドンは持参した「MARAUDERS」の赤いジャージをスティーブに渡し、スティーブは泣きながらそれを慰霊に供えた。
【バレリー】
バレリーを取材したいという申し出があった。ララ・マガジンのジージー・クレイン(Gigi.Crane)は、「知る人ぞ知る、L.A.の超クールな50人特集」のうちの1人にバレリーを選んだのだ。
早速ピーチピットにやってきたジージーは、大学4年生でありながらナイトクラブの経営をしているバレリーを頑張り屋だと誉めた。そして、今夜にでも深夜クラブを取材したいと提案し、この特集は今年で3年目だが、掲載されればキャリアにハクが付くわよと言った。
ジージーが取材スタッフを引き連れて深夜クラブへやって来た。しばらく踊って休んでいると、ディックの件をデビッドが伝えに来た。ジージーはバレリーの表情から「何か事件のようだ」と察知して、席を立ったバレリーを追った。そこではディックがコカインを吸引していて倒れた。救急車で運ばれる様子をカメラに収めるようカメラマンに指示するジージーに、バレリーが「まさかその写真を載せる気じゃないでしょうね」と尋ねると、ジージーは「私はジャーナリストよ、これは仕事」と返事をした。
そこへ、警察がバレリーに事情を聞きたいと寄ってきた。「ディックは深夜クラブの客からヘロインを買ったらしい」と、スティーブが警察に話したからだ。バレリーは「今までに何の問題も起こしていないし、これ以上は弁護士なしに話せません」と言って断った。
翌朝、麻薬取引を許したというわけではないし、事情を聞きたかっただけの警察は、バレリーとデビッドを釈放した。警察官は、深夜クラブのセキュリティ(カメラの増設など)を強化するよう忠告し、バレリーも早速そのようにすると言った。二人はやっと自由の身になり、デビッドはドナに会いにいった。
【ケリー、クレア】
ケリーにとって2月はツイてない時期。昨年は麻薬の更生プログラムを受け、一昨年はカルト集団にはまっていた。そこで、今年の2月は、パームスプリングスの「ロイヤル・ルネッサンス・ホテル」(スイートルーム)でリフレッシュしよう!&旅先では別人になれるという、クレアが提案したのだ。
チェイクインをしていると、ケリー達に注目している2人の男性がいた。ディーンは声をかけても断られるだろうと躊躇していたが、ロジャー・バーネットは名案が浮かんだようで、ケリー達に「君たちはウクライナ民族舞踏団のメンバー?」と声をかけてきた。本日の模様し物ボードに「ようこそウクライナ民族舞踏団」と書かれていたのを見たのだ。声をかけられたクレアは、「ダー。そうです」とロシア語で返事し、からかわれているとも知らずに、男性は「まさか本当にそうだったとは!」と目を丸くして言った。さらに二人はアイリーナ(クレア)とカタリーナ(ケリー)だと名乗り、片言の英語でウクライナ民族舞踏団の振りをした。
クレアとケリーが極楽気分で指圧から戻ってくると、ロジャーとディーンからのメッセージが入っていた。二人はクレア達の荷物を運ぶベルボーイの後をつけていたのだった。メモにはルームナンバーが書かれていた。クレアは面白がって電話しようするが、ケリーは「浮気しちゃって平気なの?」と心配。だが、浮気をするのは自分ではなく「カタリーナ」だと言って4077号室へ電話した。そして、二人はロシア語のおさらいを始めた。
その後、プールサイドで寛ぐ二人の前にロジャーとディーンがやってきた。自分達はソフトウェアの開発をしており、星占いのスクーンセイバーが自信作だと話した。さらに、「ミッション・インポッシブル」で使われたソフトウェアの一部分は自分達が協力して作ったもので、高い評価を得たと説明した(トム・クルーズ主演で、一部Macintoshのソフトウェアが使用された。映画の中にAppleのロゴマークが出てくるシーンがあり、日本でもAppleファンの間では話題になった)。
そろそろ部屋へ戻らないと...と言っていると、本物の舞踏団がやって来てしまった。ケリーとクレアは手を振ってみせ、自分達も帰らねばと逃げようとしたが、ロジャーが翌朝は砂漠を案内すると言ってきた。
約束の朝10時、ロジャーとディーンがやってきた。同時に、ディックの死を知らせるドナの電話もかかってきた。ショックを受けたクレアはトイレに閉じこもり、ケリーが詳細を聞くことにした。部屋の外から流暢に英語を喋っているケリーを見たロジャーとディーンは、自分たちは騙されていたと言い出した。それに気付いたケリーは弁解しようとしたが、「その言葉も信じて欲しいかい?詐欺師さん」と言われてショックを受けた。
【ドナ、デビッド、クリフ】
クロエの一件以来、デビッドはドナに会いたいと何度も連絡していた。ドナも話し合いが必要だと、深夜クラブへやってきた。
約束通り、深夜クラブの新しいD.J.Nigthにやってきたドナは、両親の勝手な計らいで、明日もクリフと会う事はになったとデビッドに告げるが、デビッドは「フェリースが絡んだらおしまいだ!」と怒鳴った。そして、どうしたらいいかと聞くドナを置いて、デビッドは呼ばれた方へ行ってしまった。
話し相手が欲しくなったドナはピーチピットへ移動し、ナットさんにデビッドの事を話そうとすると、クリフの姿が目に入った。ドナはナットに礼を言って、クリフの所へ行った。しばらくして、ディックがトイレで倒れたと騒ぎが起こり、ディックは急いでトイレへと向かった。しかし、彼が駆け付けたときには既に脈はなかった。救急車で運ばれる様子を見ながら、ディックは「彼氏が経営するクラブでこんなことがあったとドナの両親が知ったら、さぞショックだろねぇ」とデビッドに言った。それはフェアじゃないとドナも注意するが、ディックは「あの若さで死ぬのもフェアじゃない」と、ショックを受けていた。
デビッドは、深夜クラブで麻薬を売ったとして警察へ連れて行かれてしまった。バレリーも一緒だった。連行されるデビッドを見たドナは、ひとくショックを受け、クリフがドナを家まで送り届けた。
ブランチの約束に遅れてやってきたドナ。既にクリフは来ていて、食事の支度を手伝っていた。夫妻は既に夕べの事故を知っていた。フェリースは、「バレリーとデビッドが事情聴取を受けたと聞いたが、一切関わってないといいけどね」と言い出し、ドナは「麻薬の取引に?だったらナットさんはどう?関わっていると思う?」と反発した。Dr.マーティンがその空気を察して、飲みのの準備をしようとフェリースを連れだしたおかげで、ドナとクリフは二人きりで話すチャンスができた。クリフは、「昨晩家に帰ったら、新しく申し込んでいた仕事の採用が決まったとの連絡があった」と告げた。それはフロリダにあるディズニーワールドでの保安関係の仕事だった。しかし、1週間考える時間をくれと答えたというクリフ。ドナの気持ち次第では断るつもりでいると言い、自分は真剣にドナが好きだと告げた
食事をしていると、少年がドナへのメッセージを持ってきた。そこには「I Love You "D"」と書かれていた。少年が指差した先には、デビッドが立っているのが見えた。ドナは「デビッドのそばにいたいの」と席を立つと、クリフに新しい仕事を引き受けるように言って、自分はデビッドを愛していると告げた。ディックは「火は消そうとしても消えないことがある...燃え尽きるまでは。本当にデビッドが好きなら、もう俺が来ても揺れたりするな!」と言って、ドナにサヨナラを告げた。二人は別れのキスをし、ドナはデビッドの元へ急いだ。二人は抱き合って激しくキスをした。そんな二人を見ていたフェリースは、顔を背けずにはいられなかった。