Episode Guide

5-10:果てしない夢の中で
(The Dreams of Dylan Mckay,1994/11/9,1995/6/17,1997/10/26)

【スティーブ】
11月最初の土曜日。ブランドンはカパエプシロンに混ざり、社交クラブ対抗フラッグフットボールのトーナメントに出場していた。調子よく試合は進み(28点もリード)、あと3分で終わり...というところで、スティーブの父(ラッシュ・サンダース)がやって来た。ラッシュはカパエプシロン出身で、クラブの後援会メンバーでもある。ラッシュは「自分は3年連続で優勝したんだ!」と過去の栄光に浸たり、そのおかげで心が乱れたスティーブは、試合に負けてしまった。

試合が再開されるため、スティーブは病院へは行かずにピーチピットに残り、「深夜クラブの件は自分に任せてくれ」とナットさんに話していると、アンドレアから「こういう時によくビジネスの話ができるわね」と言われてしまう。しかし、スティーブはビジネスの話しを続けた。2日で15万ドルを投資してくれる人を見つけると宣言するが、今こそが引き際だというナットさんは「12時間以内に投資してくれる人が見つからなければ手を引く。しかし、どこから資金を調達してくる気かを言えば話しに乗らないわけではない」と言った。スティーブが説得せなばならない相手は、父ラッシュだった。

グラウンドではラッシュが中心とり、勝つための作戦を部員達に伝授していた。そこへ戻ったスティーブは「自分がやれよ。パパは得意じゃないか...息子を凹ましておいて自分が目立とうとするのは。」と、自分は付き合いきれないと言いだした。ラッシュはみんなの前で自分と張り合いたいと思っているとブランドンに愚痴を言うスティーブ。ブランドンは「今日の試合はお父さんの為にでも、死にかけているディランの為にやるのではない!これは僕と君の試合だろ」と励まし、二人はまじないで気合を入れて試合に挑んだ。

試合が再開され、0対0の残り40秒の所でジムも見学にやってきた。相手チームのジップスが5ヤードラインまで攻めてきて、それをカパエプシロンが食い止めた所だ。ブランドンは残り時間の作戦をスティーブに質問し、マンツは守って引き分けにしようと提案。しかし、スティーブはラッシュの姿をみて、教えてもらった作戦で行こうと決断した。作戦は大成功、カパエプシロンの勝利となった。ラッシュはスティーブにガッツポーズをし、スティーブも笑顔で答えた。

カパエプシロンは決勝戦へ進むことになった。スティーブは、64年度のスタープレイヤーであるラッシュに敬意を表して乾杯し、どさくさに紛れて「クラブのオーナーに乾杯」と言った。

【バレリー】
ジムはバレリーが喫煙者であることを知り、「いつの日か、君が肺がんで死のうとそれは自業自得だが、自分がいない所で吸ってくれ」と、冷静にバレリーへ伝えた。バレリーは、ジムが嫌ならもう吸わないと言うが、ジムは自分を理由にするなと言い、止めるのはバレリーが健康で長生きする為だと答えた。

【ディラン/果てしない夢の中で】
転落のショックから昏睡状態となり、意識不明で病院へ輸送されたディラン。尿の薬物検査の結果、ヘロインとコカインの陽性反応も出た。「意識不明のまま人間は、その心の中で自己の魂と戦う。」 これは、文化人類学でいうところの原始文明で、おまじない師が信じていたとだと、ディランの容体をチェックする女性インターン(Ms.ヤング)が言った。まさに、ディランはベッドの上で彷徨っていた。

W.B.H.のディーズリー先生が医師の姿で登場したかと思えば、ディランを騙した張本人スザンヌとケビンも現れ、どこからかエリカの「助けて」という声が聞こえて来た。ディランは声のする方へ走り出し、いつの間にかそこは病院ではなく、煙の立ちこめたトンネルになっていた。「助けて、私のお兄ちゃんなら」という声の方へ進むが、途中、浮浪者やディランに薬の売人が声をかけてくる。そして、進もうと向きを変えると電車の光がディランを照らす...。

ウォルシュ家に、ディランの母(アイリス・マッケイ)から電話が入った。ディランが事故で病院へ運ばれたことを連絡してきたのだ。ディランは免許証を携帯していなかったため、身元は車のナンバーから割り出されることになり、ハワイのいるアイリスの所へ連絡が入ったのだ。その情報は、ピーチピットへやって来たブランドン、ケリー、スティーブの耳へも入った。
ジム、シンディ、バレリーは病院へ駆け付け、「転落のショックによる昏睡状態なら、24時間以内に目が覚めるでしょう」と言わて安心した。3人は、自分たちが来たことが分かると言われ、ディランもジム達が出てくる夢を見ていた。

感謝祭にバレリーとウォルシュ家へやって来たディランは、シンディをママ、ジムをパパと親しげに呼び、リビングにはスザンヌとケビンも来ていた。玄関のチャイムが鳴って、それはエリカだと言われたディランはドアを開けようとするが、隣の部屋で七面鳥を切っているジムの方へ目をやると、皿の上には蛇がいてギョッとする。そして、玄関の扉を開くとエリカの代りに、薬の売人が「俺から逃げられると思っているのかよ」とディランに向かって言った。
場面は変わり、ディランはヨットの中で父ジャック・マッケイと過ごした最後の夜、ジャックの乗った車が爆発炎上した場面を思い出していた
(詳細はこちら)

ブランドンとケリーも病院へ駆け付けた。「リッチランド先輩が死んで1カ月半しか経っていないのに、自分たちの親友が死にかけているなんて。今は試合をする気分じゃない」と、一緒に病院へやって来たケリー言うが、「一生懸命に戦っているのに、死ぬだなんて言わないで!」とケリーから言われた。
ブランドンが水を飲みにいっている間、先に面会を終えたバレリーがやって来た。そして「自分が面会へ来たことを、ディランは喜んでいないみたい...。全て自分が悪いのよ」とケリーに言うと、ケリーは「ディランがこうなったのは誰のせいでもなく、彼自身のせいだ。みんなはディランを助けようとしたが、自分から更生施設を抜け出した。あんたはディランが抜け出したのを知ってて、何もしなかったってわけじゃないんだから。自分を責めなくてもいいの!」と答えた。そんなケリーに、バレリーは「ディランをまだ愛しているのか」と質問したが、ケリーの面会許可が下りたと知らせに来たシンディによって、その答えはウヤムヤとなった。
ケリーが病室へ入り、少し遅れてブランドンも病室へ入ってきた。ディランは高校時代にケリーと過ごした素敵な夜を夢に見始めた。

二人はプールの中で抱きあい、そしてキスをした...まだ二人の事をブレンダに告げる前の事だ。場面は変わり、ウォルシュ家の階段を、ウェディングドレスを着たケリーがジムに連れられて降りて来る。ディランは暖炉の前で待つが、ケリーの隣にはいつの間にかブランドンが立っている。すると、ウェディング姿で現れたバレリーが「私を好きに笑っていいのよ、結婚してくれるなら。」と姿を現した。しかし、ディランが「バレリー」と言った瞬間、すっかり周りは暗くなり、「何度言ったらわかるの?私はバレリーじゃないわ。私はブレンダよ。そう...なりたかったのよブレンダに。私はあなたの妻になりたい」とバレリーが言った。
またトンネルへ迷い込んだディランは、エリカの声のする方へ進もうとする。途中で止まると「止まるな、あの子が電車にひかれて死んでしまうぞ」と言われ、線路の先に見える光の方へ進んでいく。

ベッドの上で目覚めたディランは、ナースコールを押してディーズリー先生を呼んだ。スザンヌとケビンもやってきて、ディランを騙したことは悪かったと言が、しかしこうなった以上は仕方ない...と、ディランを殺す為の注射を打とうとする。

再び場面は変わり、その赤い壁のプールバーには、ディランがこれまで関係を持った女性ばかりが集まっていた。「一番好きなのは私でしょ?」と、ケリーも姿を現し、次にバレリー、そしてドナがディランの上に乗ってきた。ディランはドナとは関係がないはずだと驚くが、「自分の初体験はディランだと決めていた」と言って、下着姿のドナはディランに激しくキスをした。すると、薬の売人は太い注射器をディランに刺そうと、ディランの腕を掴んだ。
またトンネルの中。エリカの助けを呼ぶ声が聞こえてきて、光の方へ向かうディラン。

病室へはデビッドとクレアが見舞いに来ていた。

場面は病室へ変わり、ティーズリー先生はディランを殺すよう命じられたが、自分の教え子を殺せるはずなく、裏切って病室を飛びだし、薬の売人がディランに銃口を向けた。
またトンネルの中。デビッドとクレアが彷徨うディランに声をかけた。しかし、二人の中身は入れ替わり、クレアが口を動かすのにデビッドの声がして、デビッドが口を動かすのにクレアの声がする。不思議そうに見つめるが、ディランは構わず光の方へ顔を向けた。

プールバーで薬を注射されそうになるディランを、遠目に見るデビッドとクレア。ドナはピッタリとした黒い洋服みを包み、右手は壁に繋がれ、加え煙草で体をクネクネさせながらディランにウィンク。クレアは寝かされているディランの上に乗ってキスをするが、ディランと寝たいなら自分に頼めというスザンヌに、「ディランは誰と寝るかしらね!」とディラン体を起こした。反対側から起き上がったのはエリカだった。「やめろ」と叫ぶディラン。
自分が崖から落ちていくがフラッシュバックするディラン。心電図の波形は「ピー」と一直線。それを見つめるスザンヌ、ケビン。薬の売人はモニターの電源を落とした。

また、ジャックが殺された朝の場面となり、ディランは自分が車に乗って爆発してしまう。トンネルを光の方へ真っすぐ進み、エリカが差し出す手をつかもうとするが、途端にエリカは光の方へ引き寄せられてしまった。と同時にディランは肩を掴まれて振り返ると、さっきの浮浪者が立っていた。「私もあそこへ行ったが、奴が何と言おうと行く価値はない。」 それはジャック本人だった。驚いたディランはジャックを抱きしめ、「俺は努力した。全てなげうって、俺にはもう何もないんだ。」と涙を流した。ジャックは「負けるな。人生には目的がある...信じるんだ。」と、ディランに言った。

マイルズ医師曰く、患者の容体は医学的にも科学的にも不可解だという。意識は依然不明のままだが、呼吸器系統は安定し峠は越えた。治療は何もしていないのに・・・

ハワイからアイリスも飛んできた。ディランは目を覚まして「これも夢かい?」と呟くが、それは現実の世界だった。ディランが頭を上げると、入り口の椅子にジャックが座っており、にっこり笑ってディランを見つめていた。ディランも微笑み返したが、アイリスに連れられて医師達が入ってきた時には、もうジャックに姿はなかった。しかし、ディランは安心した眠りについた。


前エピソード次エピソード第5シーズン