悩んだ揚げ句、バレリーは香港にいるシンディに相談の電子メールを送った。
毎日をもっと楽しく過ごしたいけれど、デビッドのママの一件があってから、いろいろ思い出して眠れません。
ブランドンは元気です。ジムさんによろしく。愛を込めて
バレリー
バレリーから、自殺した父親を発見したのがバレリーだったと聞いたブランドン。シーラの自殺未遂が原因で、再び悪夢を見るようになったのであれば、母アビーへ相談の電話をしたらどうかと勧めたが、バレリーは「自分は恨まれてるから、家に帰ることも出来ない。家族にいつも迷惑をかけてばかりの悪い子で、両親はそれが原因で毎日言い争いをしていた。母親は、自殺の原因を自分のせいだと思っている。」と、泣きながらブランドンに話した。
その夜も悪夢を見てしまったバレリーは、取り乱しながら、悲鳴を聞いて駆けつけたブランドンに「そばに居て」と泣いて頼んだ。ブランドンは「大丈夫だから安心して」と言いながら、バレリーを抱いてあやしてやった。
バレリーがデビッドの部屋を訪ねた。バレリーは自分の父親も自殺したと話し、「恐いんでしょう?」と言って、デビッドをある場所へと連れて行った。それはバレリーの為でもあった。その場所は、バレリーがL.A.に来た最初の週に見つけた場所。サンタモニカ・ビーチを見張らせる場所だったが、バレリーは夜景を見にそこへ来たのではなかった。そこは崖になっていて、真下はフリーウェイ。
柵を乗り越えたバレリーは、デビッドにも来るように言った。
足下から崩れ落ちるかも・・・何の前触れもなく。人生もそう。バレリーは、「僕は死にたくない」と答えたデビッドに、手を差し伸べ、崖っぷちから引き戻して抱きしめた。
恐い?
もし死にたいなら今がチャンスよ。止めたりしないわ。
どうしたの?死ぬのが恐い?
生きるのは? パパみたいに命を絶つかって、悪魔の囁く声が耳元で聞こえると、ここへ来てガッツを試すの。
親愛なるバレリー
あなたが、又、恐ろしい夢を見るようになったと聞き、ジムと心を痛めています。早く月日が経って、過去の辛い記憶が薄れることを祈ってます。あなたならきっと、立ち直ってたくましく生きて行けるはず。今の苦しみのおかげで、他人の痛みが分かる強い女性になれると信じています。ブランドンによろしく。愛を込めて
シンディとジム
「今夜はよく眠れそう・・・」という、その夜のバレリーの夢は、再び長い廊下を洗面所へ向って走っているものだった。必死にドアを叩いて叫ぶが、開いたドアの向こうに見たものは、バレリーに手を差し伸べるデビッドだった。「もう恐がることはないよ」と言うデビッドの手を握るバレリーは、そのまま安らかな睡眠を続ける事ができた。
【デビッド】
デビッドは、母シーラの自殺未遂以来、大学の講義をサボっていた。ケリーやドナ達も心配していた。
精神科に入院中のシーラを見舞うデビッド。背を向けたまま返事をしてくれないシーラに、デビッドはイラついて大きな声を出してしまった。メルは、「辛いのはわかるが、気持ちをしっかりと持たねば」とデビッドにアドバイスするが、医師から今後の治療法を聞かされて、さらデビッドの動揺は大きくなった。
低レベルの電気痙攣療法。即ち「電気ショック療法」で、シーラの年齢、健康状態、病歴を総合すると、短期間で効果があるのがコレらしい。以前と比較して知識は豊富にあり、成果も上がっている。シーラの鬱状態を治すには、これ以外に方法がないという医師。
鎮静剤で眠らせ、強力な筋腫環薬を投与した後、頭に取り付けた電極を通じて100ボルト程度の電流を低いパルスで患者に送る。それは、100wの電球が一瞬灯る程度で、極く弱いもの。短期の記憶を失いという副作用があるが、それは半年以内でほとんど戻る。ちなみに、死亡率は2万分の1。説明を受けたデビッドは、「母親に電流なんて流せない」と、この治療法には大反対だった。
心配したドナとケリーはデビッドの寮の部屋(105号室)を訪ねるが、デビッドはベッドでゴロゴロ状態。ケリーが「力になりたい」と言っても、放っておいてくれと怒鳴るばかりで、どうしようも手の付けようがなかった。
その夜、大学のカフェにアイスバーを買いに来たデビッドは、大学のシアターにて「カッコーの巣の上で」を見終わったケリー、コリン、クレア、ドナ、レイと遭遇。ドナから一緒にテーブルに座らないかと答えをかけられるが、「大きなお世話だ」と去ってしまった。それを見たクレアは、「早く抜け出さなければ、カッコーの巣のようになってしまう」と言い、それにはケリーも同意見だった。
翌日、デビッドの部屋を訪れた父メル。電気治療は、患者本人が同意しなければ開始することが出来ない為、デビッドからシーラに治療を受けるよう言って欲しいと頼んだ(メルが言ってもシーラは聞かないだろうからとの理由から)。シーラには、その治療以外に道はない・・・電気治療が最後の頼みの綱だった。
バレリーに連れて行かれた崖で決心をしたデビッドは、そのまま病院へやって来た。「落ち着いてね、あなたのママよ。話すチャンスがあるだけラッキーだと思わなきゃ」とバレリーに励まされ、シーラの病室へ向った。相変わらず背を向けたままのシーラだったが、デビッドが優しく話しかけ、治療を受けて欲しいと願うと、シーラは涙を流しながらこちらを向いて笑顔を見せた。そして、「治療中はそばにいて欲しい・・・目が覚めたら真っ先にデビッドを見たい」と、口を開いた。
【ディラン】
ディランがトニーを迎えにやって来た。学校へ送るためだが、ブルーノの許可も得ていた。マルシェット氏が不在中のため、ディランは家の中を案内してもらうことになった。トニーが一番大好きな場所・・・ディランはマルシェット氏の書斎に案内されるが、そこで自分の父ジャックとマルシェット氏が肩を組んでる写真を発見してしまった。トニーは、ジャックの事は知らないようだ。
父親の不在中、内緒でパーティを開くことにしたトニー。ディランには内緒で、みんなの電話番号をナットさんから聞き出して招待していたらしい。パーティは明日20時からの予定。一方、特に親しい間柄でもないのに、突然の招待で驚いくケリー達だが、ドナは「好意を持ってくれてるんだから」と、パーティへは行くことにしていた。
ブルーノは、ディランにはマルシェット氏が知れば不快に感じるトニーの知らない一面がある!と警告するが、トニーには何の影響も与えなかった。
パーティの夜。ディランはトイレへ行く振りをして、マルシェット氏の書斎に忍び込むが、机の引出しをあさっている所をブルーノに見つかってしまった。ディランは見たいものがあったと言って、書斎の写真立てをブルーノに見せるが、ブルーノもマルシェット氏も、ディランの正体は掴んでいた。トニーはまだ知らなかった。ブルーノは、トニーは自分にとって娘も同様であるとディランに忠告した。
【ブランドン】
トニーの豪邸で開かれるディナー・パーティにスーザンを誘うブランドン。しかし、「先週キスしたのも間がさしただけで、パーティへは二人で行くべきではない」と拒否されてしまった。スーザンが・・・
その夜、ブランドンがスーザンの寮の部屋を訪ねた。スーザンの部屋は他よりも優遇されていて、部屋には専用のバスルームが付いている。ブランドンが訪ねてきた時、スーザンはお風呂上がりでピンクのローブを着ていた。
ブランドンの"大事な話し"とは、自分が新聞部を辞める・・・クビになる方を選んだということだった。「この世には重要なこととそうでないことがあり、スーザンとパーティへ行くことは、仕事よりも重要だと思う。」というブランドン。結局、スーザンはブランドンと一緒にパーティへ行くことを決めて、19時半に迎えに来てもらうことになった。クビの話しは脅しただけで、スーザンは今後もブランドンの仕事に期待をしていた。
パーティの夜。真っ赤なドレスで登場したケリーを見たスーザンは、ケリーにジェラシーを感じていた。デート相手の元恋人がモデルという場合には、自意識過剰になってしまうもの・・・と、ブランドンに言った。
【スティーブ、クレア】
クレアの家庭教師のおかげで、最初の数学のテストには合格できた。
ピーチピットにて。スティーブの勉強をみてやるクレアは、自分の後部シートにかけている腕を退けないで欲しいと、スティーブに頼んだ。気持ちいいらしい。スティーブは再びシートに腕をかけ、今夜のトニーのパーティには誰を行くのかと訊ねると、クレアは「ナイーブ・ハートを呼ぶつもり」と答えた。それを聞いたスティーブは、「奴は忙しい・・・エンジェルって子とのデートで」と返事をした。
パーティからの帰り、スティーブはクレアをアパートの玄関まで送り、二人はキスをした。数学も国語も苦手なスティーブ。キスの採点はA+をクレアからもらった。
【ドナ】
一人でトニーのパーティへやって来たドナ。レイは、ドナを迎えに行く途中に玉突き事故に遭ってしまったらしい。スティーブは、それは口実で、他の女性とデートしているかも!と茶々を入れ、クレアは「スティーブとは違うの」と言った。
【ピーチピット、ネズミ騒動】
ピーチピットにネズミが出没。「仕掛けておいたチーズだけ食べられる!」と、ナットさんはネズミと必死に戦っていた。仕掛けのチーズはカマンベール。バレリーは、「なんだかネズミがかわいそう」と思っていた。
ある晩、罠の「パチン」という音を聞いたナットさんだが、今回もチーズだけが盗れてしまってた。「なんとしても見つけてひっぱたいてやるぅ」と、ナットさんは鍋を掴んで店内をうろうろ。ところが、ドナが「めちゃ科学的なやり方」と、ジュークボックスの下に行ったネズミを「おいでぇ〜」と引き寄せて、ドアの外へと逃がしてやった。ナットさん曰く、「ドナはヒーロー」だ。
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