Episode Guide

5-16:生きる・老人ホームの出会い
(Sentenced to Life,1995/1/4,1995/7/29,1997/12/7)

年が明けて、1995年が始まった。

【スティーブ】
スティーブは、裁判所に命令された合計100時間の奉仕活動をする為に、老人ホームへやって来た
(ことの経過はこちら)。その入口で、スティーブは一人の老人に出会った。彼は有名な俳優ソウル・ハワード氏、スティーブの母サマンサ・サンダースと「ハートリー・ハウス」で共演した事があり、スティーブも幼い頃にはスタジオへ遊びに行った事があった。
スティーブは老人ホーム責任者のウォーレン氏の部屋を訪ね、自分が書類にサインをすれば、後は上手く処理してくれる事になっているはずだと告げた(グリフィンの父のコネ)。スティーブがするはずだった仕事は、合計100時間の老人の相手;便器の掃除、床掃除に食事の世話などなど。ウォーレン氏は、ビバリーヒルズに住むスティーブのような者には耐えきれない事ばかりだろうと言い、スティーブも早々に書類にサインをした。
オフィスを出たスティーブは、ハワード氏に呼び止められて部屋へと入った。スティーブをチャッキー(ハートリー・ハウスに出てくる幼い子供の名前)を呼ぶハワード氏は、おねしょをしてしまったので、シーツをクリーニングに出してきて欲しいと言いだした。おねしょした事がホームに分かると、ビニール製のシーツにされた上に、オムツをされてしまう...それは嫌だというハワード氏。仕方なく、スティーブはシーツの入った紙袋を受け取った。

その夜、仕上がったシーツを届けに来たスティーブは、壁に飾られたハワード氏の娘の写真を見つけた。スティーブは、その娘が幼い頃に自動車事故で他界したと聞き、自分は養子で実の母親も自動車事故で亡くなった事を話した。そしてスティーブは、そこを通り掛かって声をかけてきたウォーレン氏に、裁判所命令である100時間の奉仕活動をする事にしたと告げた。生半可な気持ちでは後悔するというウォーレン氏だが、スティーブは「今回ばかりは逃げたりしない」と強い意志を表明。しかし、「たかが100時間ここで働いて、人の人生が変えられると思ったら大間違いだ。これ以上辛い思いをさせたくない...だから放っておけ」と返事をして去って行った。

スティーブが廊下を掃除していると、ハワード氏が声をかけてきた。スティーブは、自分は死ぬまでここを出られない...終身刑と同じだと言うハワード氏の言葉を聞いて、明日になったらこの監獄を一緒に抜け出してドライブをしようと誘い、ハワード氏の好物<マスタードがたっぷりのチキンサンド・トース、激辛ピクルス添え>を食べに、ピーチピットへ行く約束をした。

翌日、スティーブがハワード氏の部屋へやって来ると、ハワード氏は別人になったかのように「金は一文もないと言っているだろう。さっさと出ていけ!」と大声で叫び出し、驚いたスティーブは、駆け付けた看護婦に自分は無実だと言い張った。廊下で待っているように言われたスティーブは、ハワード氏がアルツハイマーで、スティーブを忘れてつい混乱したのだと聞かされた。この症状は、数日間で治まる場合もあれば、数分で治まる場合もあるいう。しかし、結局は一生このままであるという。

スティーブが自分の仕事をしていると、正常な状態に戻ったハワード氏が声をかけてきた。一瞬驚くスティーブだが、ハワード氏の思考がしっかりしているのを確認すると、自由の世界へと連れ出した。ハワード氏は自分が運転すると言い出すが、スティーブは出られただけでもラッキー!だと思って諦めるよう言って、ピーチピットへやって来た。ピーチピットにはアンドレア、デビッド、クレア、ドナ、ブランドン、ケリーが来ていて、ハワード氏は得意のカード・マジックを披露することになった。そのマジックは大成功、みんなは拍手して喜んだ。 ところが、ハワード氏は今やったばかりのカード・マジックを再びやり始め、スティーブが声をかけると怒鳴り出した。周囲にいたブランドン達が驚いて見つめる中、スティーブはハワード氏をホームへ連れ帰る為に連れ出した。

ホームへ戻ったハワード氏は正常な状態に戻った。そして、話しがスティーブの父ラッシュの事になり、スティーブがラッシュには馴染めない...と呟くと、ハワード氏は自分と娘の話しをし始めた。
・・・娘は自分を働き過ぎだと言って嫌っていた。たまに家に帰っても喧嘩ばかりで、そのうちに口も聞かないようになった。何カ月かして、自分は娘に電話をして「これだけは知っておいて欲しい。自分たちの間に何があっても、娘をいつまでも愛している」と告げた。その2週間後、娘は事故で死んでしまった。それ以来、電話したことを神に感謝している・・・
ハワード氏は、正しいこと;早いところラッシュと仲直りしろ!さもないと一生悔やんで生きる事になる....と、スティーブに忠告した。そして、もうすぐ自分はボケて死ぬ事になるが、今日はとても楽しかった。もしかしたら、おかしな事を言ったかもしれないが、気にしないで欲しいと頼み、スティーブに礼を言って眠った。スティーブは目に涙を溜めて、部屋を後にした。

翌日、スティーブは再び奉仕活動のためにホームを訪れた。みんなは写生を行っていたが、ハワード氏のキャンバスは真っ白で、口をポカンと明けて宙を見つめているだけだった...アルツハイマーの症状が出ていたのだ。スティーブは、ハワード氏の手を取って赤い絵の具を筆に付けて、その手をキャンバスまで運んでやったが、ハワード氏の手からは筆がスルリと落ちてしまった。キャンバスには赤い縦線が描かれただけだが、スティーブは「気にしないでも、あなたは大傑作を描いた」と言葉をかけてやった。
その後、ナットさんからの差し入れ(ピーチパイ)を持ったスティーブが、再びハワード氏の部屋を訪れた。ハワード氏は相変わらずスティーブの事を認識できずに、ただボーっと椅子に座っているだけだった。ショックを受けるスティーブは、散歩に出かけるか、レクリエーション・ルームでカード・マジックをしようと話しかけるが、そのうち「何をしたいか分かったぞ!」と、胸ポケットから車のキーを取りだした。そして、それをハワード氏の目の前で音をたてて揺らしてみせた。ハワード氏はその音に正気を取り戻し、「スティーブ、どこへ行っていたんだ」と声に出した。これまで、ずっとスティーブを「チャッキー」と呼んでいたハワード氏が、初めて「スティーブ」の名前を呼んだ事に、スティーブ本人も喜んだ。二人はドライブすることにしたが、相変わらず運転したがるハワード氏と、車のキーの取り合いになるのだった。

【ドナ、レイ】
ピーチピット深夜クラブ(P.P.A.D./Peach Pit After Dark)のオープンは、1週間後の土曜日。デビッドとクレア、ドナはP.P.A.D.で初ライブを行うアーティスト募集のビデオを撮影するために、工事中のP.P.A.D.にやって来た。
ドナは、初ライブをレイにやらせてもらえないかとデビッドとクレアに頼むが、レイにはバンドも居ないし、ダンス向きではないと言われてしまう。しかし、「バンドは雇うし、レイならどんな曲も出来る!」というドナに負けたデビッドとクレアは、初ライブをレイに任せることに同意した。

ドナは、早速ライブの話をレイに報告するが、レイの答えはノー。ドナの気持ちは嬉しいが、バンドを組んでダンスミュージックを演奏するのは興味がないという。ところが、「やっと出演を了解したと聞いた」とクレアに言われたレイは、ドナを呼び出して「自分はオープニングには出演しない。何度同じ事を言えば気が済むんだ」と怒鳴った。ドナは、せっかくのチャンスなのにどうしても理解出来ないと反論するが、レイは、ステージに立つ自分をフェリースにスターだと認めさせたいと思っているに違いない!と言いだした。ドナは、ただレイを手伝いたい気持ちだけだったが、レイは手伝って欲しいと頼んだ覚えはない!と言って、その場を去ってしまった。

ドナは、ビーチアパートのテラスで弾き語りをするレイに、無理な事を言って悪かったと謝った。すると、レイは大勢の前で歌うのは夢だったが、実はステージ恐怖症であることをドナに告白した。ステージに上がると、汗が出て、咽がつまり、体が動かなくなるという。人前で歌ったのは、火事の夜とハロウィン・パーティで子供の前で歌った時だけ。相手が子供ならば恐くないが、ステージに上がって歌う事は出来ない!という。ドナは、夢を叶えるためなら力になるし、夢は必ず叶う...自分はレイの力になる!と励まし、レイも頑張ることをドナに誓った。

【バレリー、ケリー】
ウォルシュ家のキッチン。ケリーが英米文学を、ブランドンが経済の試験勉強をしていると、年末年始の休暇を終えたバレリーが戻ってきて、バッファローにある実家へは戻らず、ジャマイカのネグリルへ行っていたと報告した。バッファローへは恐くてどうしても帰れなかったが、母アビーに電話をしたらOKしてくれたというバレリーに対して、ケリ−は否定的な考えを持っていた;バレリーの態度は、異常心理学を勉強している自分から見れば教科書どおりで、言った事は強迫観念からくる嘘に違いないと言う。ケリーは、バレリーの母に電話で確認すべきだと言い、ブランドンは「これ以上、ケリーにバレリーの事をとやかく言わせない為にも!」と、電話で確認することにした。

翌日、ケリーがウォルシュ家へやって来た。ブランドンは、バレリーの件を確認をしたところ、バレリーがジャマイカへ行ってた事は母親も了解済みだったと報告した。ブランドンは、誤解していたのはジャマイカの件で、バレリーの事は信用していないと相変わらずの態度をとるケリーに、バレリーに何かされたのか?と訊ねるが、ケリーは「何もしてないけど分かる」と答えるだけだった。
そこへやってきたバレリーは、異常心理学のノートを貸して欲しいとケリーに頼んだ。しかし、必至で講義を受けた自分が、どうして一度も講義に出てない人の面倒を見る必要があるか!と、その頼みを断った。講義をさぼったのは2、3回だけだし、ケリーがこだわるのが分からないが、この事は忘れて!と、バレリーは諦めてその場を去った。
ケリーと二人きりになったブランドンは、「バレリーをいじめて楽しいのか?自分やドナが頼めば貸すだろう?」と訊ね、ケリーは「バレリーは平気で人を利用する人。嘘の常習犯であることは、冷静に見てればわかる!」と返事した。

試験の朝、ケリーは寝坊してしまった。バレリーから「あと5分で心理学の試験が始まるわよ!」と電話をもらって目覚めたケリーは、自分はこれまでバレリーに意地悪をしていた事を謝りたい...そして、借りが出来たわ!と告げた。バレリーは、その借りは近いうちに返してもらうと答えた。

【ディラン】
ディラン宛てに、裁判所から書留が届いた。出廷要請通知;ディランが飲酒運転の上起こした事故を起訴するというものだった(ことの経過はこちら)。この手紙が届いた時、ディランと一緒だったアンドレアから話しを聞いたジェシーは、飲酒運転、血液からはコカインとヘロインが検出され、派手な事故を起こしたディランの唯一の救いは、「他人を怪我させなかった事」と「車から麻薬が見つからなかった事」だと言って、いい弁護士を雇って、裁判所のお情けにすがることをディランに勧めた。しかし、ディランは、自分は有罪でも構わないし、罪を受けるので有能な弁護士は必要ないという。それを聞いたジェシーは、見上げた態度だが、馬鹿げているとしか思えない...少しだけプライドを押させれば、わずかな罰金に保護観察、2、3カ月の免許停止で済む事を告げ、優秀だが腕利きの弁護士の電話番号をディランに渡した。

ロサンゼルス群裁判所から出て来たディラン。それを待ち受けていたジェシーは、アドバイスを聞いたおかげで飛んだ馬鹿を見たと言われて驚いたが、それはディランの冗談を込めた芝居だった。ディランの判決は、保護観察が1年間と、たった2カ月の免許停止だった。

【アンドレア】
ハンナを連れてコインランドリーへやって来たアンドレアは、そこでピーターに再会した
(詳細はこちら)。相変わらずアンドレアをベビーシッターだと思い込んでいるビーターは、アンドレアが電話をくれなかったのはメモを無くしてしまったからでは...それならもう一度メモを渡そうと思っていると言った。返事に困ったアンドレアだが、泣き出すハンナをあやして誤魔化した。

ところが、飛んでもない所でピーターと対面することになってしまったアンドレア。ハンナが39度の高熱を出し、心配になって連れてきた病院で、ピーターは医師として働いていたのだ。二人とも驚いた。アンドレアは、ピーターをコインランドリーで会う人、ジェシーを主人、ハンナを娘だと紹介した。
翌朝。ピーターはハンナの容体を説明した後、廊下で話しがしたいと言ってアンドレアを連れ出した。ジェシーはまだ寝ていた。アンドレアは、もし自分が子持ちの主婦じゃなければどうなるかと思ったと本心を言った。すると、ピーターは実は自分も同罪だと、結婚指輪をしている指をアンドレアにに見せて、こんなふうに秘密を暴露し合うことになるとは思っていなかったと告げた。お互いこんな事をするのは初めてだったが、それは「二人とも結婚するのが早すぎて後悔しているからだ」と、ピーターに言われたアンドレアは、それは違うと反論した。しかし、それならば「いつ」結婚を決意したのか、それは妊娠検査で陽性と出てからではないのか?と言われたアンドレアは、それはピーターには関係ない言って去って行った。


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